2-17:子どもの人数を聞かれても、心の中で「忘れてないよ!」と言えるようになった。

日々の生活にも会話にも、

自然な形で息子の名前は出てくるようになった。

誰の心にも、息子は存在していることを

私が実感できるから、

もう、何も言わなくていい。

また前を向けるようになり、

私は徐々に以前の生活に戻っていった。

ある程度のけじめがついた。

また笑って話せる日々がやってきた。

友人の出産報告を喜べるようになった。

子どもの人数を聞かれても、

心の中で「忘れてないよ!」と言えるようになった。

欠乏感がなくなったことで、

ものごとに真剣に取り組もうと思えるようになってきた。

この「おうち」は

息子のためではなく、

きっと私のために必要だったのだ。

安心感と共に、心がとっても落ち着いた。

息子が我が家のど真ん中にいるようになったことは、

こんな風に私や家族に大きな変化をもたらした。

先日、夢に出てきた息子が言った。

「お母ちゃん、それはボクの話じゃなくて、

お母ちゃんの話だから!」

起きてハッとした。

そうなのだ。

これは私自身の話であって、

息子の話ではないのだ。

だとしたら、

このものがたりは、

私の成長とともにいつまでもつづく。

なぜなら、今でも息子がもたらした変化は

私の中に起き続けているから。

ここで第2章を終えようと思う。

家族のど真ん中。

これがこのあと私を苦しめる。

またあの箱が登場してしまう。

続きは第3章へ。

「たましいのおうち」について

木工作家の多胡歩未が、自身の経験から、子どもを亡くしたご家族が前を向いて生きていくための、家族の「かたち」を一緒に考え、オーダーメイドで作ります。

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