2-16:もう、「息子の事をなかったことにしようとしている」と猜疑心を抱かなくていい!
むすこの「おうち」ができてからというもの、
私はなんだかとっても生きやすくなった。
目に見えるところにいつもいるし、
家族もそれぞれに「交流」しているのが見える。
どこかで拾ってきた小石が置いてあったり、
小さなお土産が置いてあったり。
朝はダンナさんがお水をあげて扉を開けてくれる。
寝る前には娘がお水を下げて扉を閉めてくれる。
私はしょっちゅうお花屋さんに行くようになった。
友達が来て、小部屋に何か入れて帰ることもある。
いつの間にか、
小部屋の中のものが入れ替わっていることもある。
そんな小さな変化を見つけるのも、
とっても嬉しい。
だれかが、「息子と楽しんだんだな」と
思える事が幸せだ。
息子が愛されている事を実感できるから。
年に数回、
彼の「おうち」が派手になるときがある。
一番様子が変わるのは、お盆だ。
今までお盆とは無縁の生活をしてきたけれど、
私は一番好きな年間行事になった。
だって帰ってくるんだもん!!
誕生日やクリスマスなど、
家族のイベントにもしっかり参加している。
こうやって、目に見えるだけで、
勝手に巻き込まれてくれるようになるなんて、
当初は思ってもみなかった。
娘が夜、扉を閉め忘れたら、
翌朝それを見つけたダンナさんから、
「おい、昨日Kは徹夜だったぞ!!」
と言われている。
逆に娘が実家にお泊まりに行ったりして不在になると、
決まって息子は徹夜になり、
翌朝、
「あ、、、、」と
私達は深く反省をする・・・
お花を変えるだけで、
おうちの様子が一変するのも発見だった。
ある時どうしてもいいお花がなくて、
思い切って真っ赤なバラを買ってみた。
そしたらその様子がまた妙に似合っていて
なんだかみんなも気に入っていて、
落ちた花びらを敷き詰めたりして。
まだまだこんなに息子と
楽しんだりふざけたりできることがあるなんて、
想定外の喜びだ。
もう、
「息子の事をなかったことにしようとしてる」
と猜疑心を抱かなくていい。
家族のど真ん中にいるというだけで、
こんなにも心が穏やかになった。
「たましいのおうち」について
木工作家の多胡歩未が、自身の経験から、子どもを亡くしたご家族が前を向いて生きていくための、家族の「かたち」を一緒に考え、オーダーメイドで作ります。