2-7:全く体が動かない。何もしたくない。

息子のことを、

周りの人達はどう扱っていいのか、

分からずにいる。

話題にはできない。

私は、

息子に形見の狭い思いをさせている気がしていた。

息子の居場所が必要だ。

当初から考えていた、

息子の居場所。

家族のど真ん中。

いつもみんなのいる場所に

みんなが息子を見えるように

息子もみんなが見えるように

息子の居場所を作ってあげよう。

いつでも帰って来られるように。

産まれる前から

そう決めていた。

誰も息子の話をさせてくれない今、

誰からも違和感なく、

自然と話しかけたくなるような、

息子の居心地のいい居場所を

作ってあげたかった。

もちろん私は自分で作るつもりでいた。

こんなに大事なものだから、

早く作って、息子に落ち着いてもらいたかった。

なのに、全く体が動かない。

何もしたくない。


今だから分かりますが、

これは結局、出産直前と同じ状態なのです。

怖いと言えなかったあの時と。

ただ、もうリミットがないだけ。

息子を受け入れ、見守る。

頭ではそのつもりでいても、

私は息子にすがり、

そばに置いておきたかったのです。

息子の魂は、解き放たれようとしているのに、

私が行かせまいと、必死でつかまえていたのです。

なぜなら、息子を解放して、

自分の中に大きな穴が空くのが怖かったから。

出産の直前に、

息子が教えてくれた大切なギフトは

いとも簡単に忘れ去れているのです。

私が私であること。

息子は私の中に生き続けること。

私が自分自身を、

一段と深く見つめることが課されていました。

「たましいのおうち」について

木工作家の多胡歩未が、自身の経験から、子どもを亡くしたご家族が前を向いて生きていくための、家族の「かたち」を一緒に考え、オーダーメイドで作ります。

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