17: 旅立つ赤ちゃんを産むということ
この最高な気づきを知らせるために
ダンナさんに電話した。
もう日をまたいでいたころだろうか・・・
多分もう、気づいた時点で
覚悟はできていたのだと思う。
私は、今起きた私の変化について
語った。
帝王切開だとか、
生きて産まれてくるとかどうかとかではなく、
今、私が大事にしなければならないのは、
私。
周りの人に助けてもらいながら、
私が私であることだ。
みんなが見守ってくれている事を
感じることだ。
そんな事に気づかせてくれた息子に感謝。
それだけで、彼はもう、私の中に生き続ける。
だから、問題はなくなった。
息子が生きるかどうかは、
息子が自分で決めること。
私の中にはすでに、
絶対にいなくならない息子がいた。
だから、もう怖くはなかった。
ダンナさんは黙って聞いていた。
彼もまた、この時間、
同じように悩んで考えて、
新たな気づきがあったという。
彼は、息子から
時間は有限である事を知らされたという。
息子は、こんなに僅かな時間だけを持って
この世に来て、
そして、使命を全うしようとしている。
自分の持てる時間を
何一つムダにすることなく、
やり切ろうとしている、と。
なんという息子なんだ。
私達は、親として、
あなたを誇りに思う!
私達にはもう何も
恐れるものはなくなった。
答えは簡単だった。
息子を信じる。
先生達を信じる。
私達は、全てを受け入れる。
心からそう思えた時、陣痛が始まった。
やっぱり。
彼は自分で決める子だ。
「たましいのおうち」について
木工作家の多胡歩未が、自身の経験から、子どもを亡くしたご家族が前を向いて生きていくための、家族の「かたち」を一緒に考え、オーダーメイドで作ります。