12: 産むということはすなわち別れを意味した

無事に産むには、

予定週数を待たない方がいいということになった。

骨が形成されていない分、

お腹の中で大きくしても、

出てくる時に、

骨折しやすくなるリスクなどを考慮して、

臨月に入ったらすぐ産みましょうということになった。

とは言ってもあと数日で臨月だ。

それから何日後に入院したのかは覚えていない。

今回の出産は、理解し難い。

産むという事は、すなわち別れを意味した。

私はなぜ、別れに向かっているのか・・・・

お別れが近い。

お腹の皮一枚下にいる息子は、

今もごそごそ動いている。

なんの為に産むのか・・・・

大学病院の先生が言っていた。

「入ったものは出ないといけない。」

入りっぱなしはないのだ。

解っている。

そんなこと解っているさ!

それを受け入れ、受け止める事をしないといけない。

だけど!!!!

こんな事ってある!?

別れに自分から近づいていくなんて!!!!


ずっと閉じてた感情が溢れそうでした。

こういう問題は、感情で受けてはいけないのです。

正しい判断ができなくなるし、

何よりも思考が停止してしまうから。

誰かの判断に任せるのなら、

思いっきり感情を受けて感じていていいんです。

だけど、私は息子の事を自分で考えないなんて

あり得ませんでした。

今の私のあらゆる脳みそを総動員して、

最善を尽くしたい時に、

気持ちを感じている場合ではありませんでした。

溢れかかった気持ちをなんとかなだめて、

病院に向かったのです。

「たましいのおうち」について

木工作家の多胡歩未が、自身の経験から、子どもを亡くしたご家族が前を向いて生きていくための、家族の「かたち」を一緒に考え、オーダーメイドで作ります。

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