18: わが子はずっと私の中に生き続ける

その後で、また母に電話をした。

寝てようが、なんだろうが、

伝えなければならない。

全てを、ありのままを、受け入れる。

息子は、ずっと私の中に生き続けると分かった。

だからもう怖くない。

そして、陣痛が来ていることも伝えた。

翌早朝、

父からメールが入った。

「話は聞きました。

そんな娘を誇りに思います。」

みんなが味方だった。

数日前なら、こうは思えなかっただろう。

被害者意識は、

どうせ他人事だ

なんで私だけ

言うのは簡単だ

全然分かっていない・・・

と思わせただろう。

あぁ、そこから抜け出させてくれてありがとう。

息子のおかげだった。

そして、朝一番で、

主治医の女医さんに、

昨晩の出来事を話した。

息子のペースで、

普通分娩してほしいこと。

そして、陣痛が来ていること。

じっと話を聞いてくれ、

解りました。

と一言。

私の主治医が、この先生で本当によかった。

同じ女性というのもあるけれど、

「先生」の立場から、

心も理解しようとしてくれると感じていた。

これでやっと、

全員が出産に向かえる体制になった。

逆子なので、

万全の措置が施された。

ダンナさんと母が

ずっと交代で付き添ってくれたけど、

定期的に陣痛は来るものの、

その日はなかなか強くはならなかった。

どうやら息子は

全員の到着を待っているようだった。

自分の家族と、両方のおじいちゃんおばあちゃんを。


「たましいのおうち」について

木工作家の多胡歩未が、自身の経験から、子どもを亡くしたご家族が前を向いて生きていくための、家族の「かたち」を一緒に考え、オーダーメイドで作ります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。