3-1:やみくもに迷路をさまようことが解決策ではない
私達は少しずつ、元の生活に戻っていきました。
息子がもたらした新しい生活でもありました。
私は性格上、
自分の中で、一旦区切りがついたのなら、
新しい次の段階へステップアップしていきたい人間です。
ですので、仕事を再開させてからというもの、
新しい流れや環境をどんどん作り出して、
それなりに忙しい日々を過ごしていました。
意識してそうしていたわけではないけれども、
本能のままに動いている感じでした。
それはそれで、充実もしていたし、
新しい事にチャレンジもして達成感も感じていました。
ただその行動は、とっても表面的で、
今考えると、そのころから、
ずっと見て見ぬふりをしていた、
あらゆるところのねじれが、
もうねじれないぐらいに、ちぎれそうなぐらいに、
変形していたのだと思います。
だけどそれに気づくのには、その後さらに3~4年かかるのです。
これからお話しするのは、
息子との経験の後、
自分自身、対人関係、人生など、
人間としての本質を知り、気づき、
悩み、もがきながら、
新しい私ができあがっていく過程です。
言ってみれば、当時は、
いつか必ず目的地に辿り着くはず!
と信念だけをもって、
やみくもに迷路の中を走り回っていました。
走り続ける事だけが、解決策であるかのごとく。
だけど、今はもっと俯瞰して、
目的地に辿り着くために、
どうすればいいのかという、
他の手段や選択肢や行動を、
自分で考えられるようになりました。
何も迷路をさまようだけが方法ではないと。
そんな考え方をできるようになってやっと、
夫婦や家族、友人知人との対人関係が変わりました。
何より自分自身がとても楽になったし、
他人を愛おしいと心から思えるようになりました。
ねじれまくった夫婦関係も、
手を繋いで歩けるようになりました!
いちいちイライラしていた娘の行動も、
今では絶対的に愛おしい。
そして、私が、
自分の存在に感謝できるようになれたのです。
「たましいのおうち」について
木工作家の多胡歩未が、自身の経験から、子どもを亡くしたご家族が前を向いて生きていくための、家族の「かたち」を一緒に考え、オーダーメイドで作ります。