2-14:何かが起こったとき、私はこの箱と娘を連れて逃げる事になっている。
「おうち」の形が決まった。
小部屋がいっぱいあって、
扉の開け閉めができる。
背の高い建物だ。
サクラの木を使って、
高級マンションだか、塔のようだ。
ここに沢山の人の「想い」が集まる。
息子の秘密基地のようで、ちょっとうらやましい。
産まれてすぐに旅立ったとはいえ、
多少なり、息子の「持ち物」といえるものがある。
必要な書類や、遺品をまとめておきたい。
お骨も手元に置いておいていいという話だった。
我が家にはまだお墓がないし、
どこか知らない土地に、
息子を一人でいさせたくなかった。
だから、お骨は今も手元にある。
私が逝く時に、一緒に行く事になっている。
その時残っている人が誰だか分からないけど、
そういう事になっている。
その時に必要な書類がある。
それは最重要書類として、保管しておかないといけない。
そういった、息子の「持ち物」をまとめて保管しておきたい。
「おうち」の基礎にあたる部分を箱にして、
一切合切をそこに保管することにした。
何かが起こったとき、
地震雷火事親父の際、
私はこの箱と娘を連れて逃げることになっている。
「たましいのおうち」について
木工作家の多胡歩未が、自身の経験から、子どもを亡くしたご家族が前を向いて生きていくための、家族の「かたち」を一緒に考え、オーダーメイドで作ります。