2-5:小さな骨になって家に帰ってきた

火葬を終えて出てきた息子は、

小さな骨になっていた。

骨は残った!

残らないかもしれないと

言われていた骨が

残ったのだ!

私が自分の祖父母の時に見たような、

しっかりとしたものではなかったけれど、

それでも、息子の骨だ!

小さな小さな骨だ。

やはりとてももろい。

私達は、みんなで一生懸命、

できるだけたくさん拾った。

焼けたばかりの熱い灰の中を、

みんなで真剣に拾った。

担当者さんが、

右手の骨を教えてくれた。

最後に握手した手だった。

私はそれを他の骨とは別に持ち帰り、

別の小さな入れ物に入れ、

今でも家族で出かける時には、

一緒に連れて行く。

手を繋いでいるようで、

かわいい。

担当者さんは、

私達が納得いくまで

骨を拾わせてくれた。

その配慮には本当に感謝している。

息子は、小さな小さな骨になって、

家に帰ってきた。

目に見える息子はいなくなった。

家族はまた3人になった。

そして、日常が始まった。


「たましいのおうち」について

木工作家の多胡歩未が、自身の経験から、子どもを亡くしたご家族が前を向いて生きていくための、家族の「かたち」を一緒に考え、オーダーメイドで作ります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。