2-9:前を向く気力がない。その辛さを分かってほしい。一体誰に!?

私は悲しんでいたいのか・・・?

正確にはそうではなかった。

私の性格上、悲しんでメソメソしても

満たされない。

私はいつだって前を向いていたい人なのだ。

だけど、今、その気力がない。

前を向けない。

そのつらさを分かって欲しい。

一体誰に!?

その答えは、おそらく私自身に。

だけど当時は、他人にそれを求めていた。

自分で自分を満たせないから。

この矛盾を感じながらも、

自分でもどうすることもできなかった。

だから、もう、私の事は放っておいて!!

と思っていた。

あらゆる人の、私に対する言動が、

ことごとく気に入らない。

あれも、これも腹が立つ。

苦しい・・・・。

息子の事さえもほったらかしだ。

本末転倒もはなはだしい。

私は娘を連れて、

親友Sの家に転がり込んだ。

Sは、小学生のころからの大親友だ。

今は遠くに住んでいるのでたまにしか会えないけれど、

距離はあまり関係ない。

彼女にだけは、

入院前から、息子の事を話していた。

経過は全て知っている。

息子が産まれてすぐに病院にかけつけてくれた。

身内と病院関係を除いて、

息子を実際に知っているただ一人の存在だ。

Sには自分のどんなにイヤな部分でも話せる。

どんなにダメな事でも話せる。

実は彼女は、小さな命がなくなることについて、

違う立場で経験している。

彼女には弟がいた。

小さな赤ちゃんの時に旅立ったという。

間接的だけど、彼女は知っている。

見当違いな反応が返ってこないだけでなく、

一緒に乗り越えようとしてくれる心意気に救われた。

「たましいのおうち」について

木工作家の多胡歩未が、自身の経験から、子どもを亡くしたご家族が前を向いて生きていくための、家族の「かたち」を一緒に考え、オーダーメイドで作ります。

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