4: とどめの一言「大きい病院に行った方がいい」

「逆子は結果であって、

問題は別のところにある」

先生は、エコーで頭のあたりを

よくよく診ながらそう言った。

そして

トドメの一言。

「大きい病院に行った方がいい。」

産まれてこのかた、

超健康優良児の私は、

一人目の出産まで、

入院どころか、

点滴すらしたことがなかった。

それがここにきて、

小説やドラマで聞いたような一言を

この私が言われるなんて。

大きい病院に行った方がいい。

まさかこの段階で、

何かが起きるなんて、

想定外もいいところだ。

いや、でも先生は言った。

「紹介するから、スグに行きなさい。」

・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

あぁ、現実だ。

逃げてもしょうがない。

向き合おう。

私は、おそらく

たぐいまれなる、

屈強な精神力を持ち合わせている。

そんなものは欲しくもないし、

捨ててしまいたい。

あっさりと誰かに頼って

さめざめと涙していればどんなに楽か。

だけど、こういう局面で

必ず背筋が伸びて、

一人で受け止めてしまう。

それが私。


「たましいのおうち」について

木工作家の多胡歩未が、自身の経験から、子どもを亡くしたご家族が前を向いて生きていくための、家族の「かたち」を一緒に考え、オーダーメイドで作ります。

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