「絶対忘れたくないからすてきななおうちを作ってあげたい」ゆうとくんのおうち| 赤ちゃんのお仏壇代わりの手元供養

『先日妻が出産をしたのですが、生まれてすぐに赤ちゃんが息を引き取りました。私も妻も突然の出来事に心が追いつかず、気持ちの整理のつかないまま現在に至っています。同じような体験をされ、子どもの居場所を作ってあげることで家族がいつまでも一緒にいられるようになったと知りとても興味が湧きました。私達も息子にすてきなおうちを作ってあげたいと思い、相談させていただきました。』

と、突然の出来事にとまどいながら、日も浅い時期にご主人からご相談をうけました。

現実がよく分かりません

Nさんご一家は神戸からお兄ちゃんも一緒にご家族3人でお越し下さいました。

まだ現実に追いつけず霧の中にいるような状態だったと思います。

パパ

普通に生まれてくるものとばかり思っていたので、なんの心づもりもできていなくて・・・

ママ

この子(お兄ちゃん)のおかげでなんとかやっているけど、寝た後とかに泣いてしまいます・・・

あるみ

急な事すぎて理解が追いつかないのも、受け入れたくないのも当然ですので、それをどうにかしようとしなくていいんですよ。泣いていいし、怒ってもいいし、何もしなくていいし、ご夫婦でその気持ちを分かち合ったり共有することを大切に、そういうことをちゃんとやる段階ですので。無かったことにしないのが一番大事です。

印象的だったのは、パパとママが悲しい気持ちになってくると、お兄ちゃんが急にいっぱいおしゃべりを始めるんです。気持ちを察してお兄ちゃんなりになんとかしてくれてるのが伝わってきました。

お兄ちゃん、まだ言葉にはならないけれど事情は全部理解していると思います。弟がお空にいるのは当たり前の感情なんだと思います。

忘れたくない。家族の中心にいられるように。

パパ

お仏壇とか飾るやつとかいろいろ調べていたら、かわいいおうちの画像を見つけて。同じような体験をされているのでお話しを聞きたいのもあって。

あるみ

ここに来られる方はご縁でしかないと思っています。そしてそのご縁は、ゆうとくんが繋いでくれたと思っていますよ。

たまたま見つけたようで実は、パパとママがちゃんと生きていけるようにゆうとくんが導いてくれていると思うんです。これからもそんなことがたくさん起きるようになりますよ。

心が整うとそういうのを察知できるようになるので、そばにいるんだなって感じられて毎日が楽しくなりますよ。

お骨壺を入れられるおうちの写真を見た時にそれがすごくいいなと思ったとのことで、扉付きのおうちで考える事になりました。

ママ

外を見られなかったので、木とか鳥とかその中にゆうとくんのおうちがある感じがいい!

鳥が留まれる木々やおうち。木にまつわる動物など、テーマは『森』になりました。紅葉の季節だったので、もみじもどこかに入れたいとのこと。鳥はママの大好きなシマエナガになりました。

ゆうとくんのことを考えている時間は楽しいもので、ああでもないこうでもないとあっという間に時間が過ぎました。最後にママが「普通に生まれると思っていた。街中で赤ちゃんとか妊婦さんに目がいくんです」パパも「なんで働かないといけないのかとか考えてしまいます・・」とおっしゃり、現実を生きる術を聞かれました。

今はそれをどうにかしようとしなくてよくて、その時々で向き合う課題と考え方があるのでそれらを全部ひっくるめて、そういう体験をするためのゆうとくんからのプレゼントなんです。とお伝えしました。

だからちゃんと受け取ってほしいです。今がむりでもいづれ受け取って、最後には感謝できる経験に昇華させられると思っています。そこまでちゃんとゆうとくんが導いてくれると思います。

デザインが決まりました!

最初のお打ち合わせから3ヶ月もお待たせしてしまったのですがデザイン画が描けたタイミングで、今度はZOOMにて打合せをしました。

ママ

すごく良い感じ!」可愛い!想像以上です!

ボク

もうぜんぶかわいいねえ!!

お兄ちゃんがZOOM画面のど真ん中で、絶賛してくれるのでめちゃくちゃ嬉しかったです😆

森の中のおうちのイメージで3種類ご提案しました。

パパとママが森の木を1本にするか2本にするかめっちゃ迷っていたら、

ボク

もりがいい!にこほしい!

というボクの一声で、木は2本に決まり。

もみじは扉に透かしとして入れることになりました。そして扉のお名前はママがデザインするママフォントに決まりました。

制作を開始します

それからお待たせすることさらに2ヶ月。ようやく制作に取りかかれました。

最近の近況なんかもお聞きしつつ、制作の進捗を報告していきます。

パーツが揃ってきたので嬉しくなってテープで仮留め。

新生児用のお骨壺なので、おうちも小さくてかわいいんです。

全体のイメージがわかってきたので、ママフォントの準備に入ってもらいました。

ひとまず自由に描いてもらって気に入ったものをピックアップ、その後やりとりを経てこちらのデザインに決まりました。

デザインをしてもらっている間にも、こちらでもどんどんパーツを作っていきます。

扉にモミジの透かしを入れたり、窓枠を作ったり。「ゆうと」の文字も切り出しました。

おうちのパーツの次は、森の木々や動物たちも作ります。

ママが大好きだというシマエナガを切り出している時、不思議な事が起きました。

糸ノコで切り出すのですが、シマエナガの時だけ切ったそばからなにかがキラキラ舞い上がるんです。他の動物でも木や草の時も起きなかったのですが、シマエナガの時だけはずっとキラキラが舞っていました。ゆうとくんが見に来たんだな〜って思いました。「ママの大事だから、ちゃんと作ってね」って。

動物たちには、漆でお顔を描きました。

いよいよ終盤です。

組み立て作業です。最後に屋根を付けて、面取り、磨いて完成です。

完成しました

収納ボックスに森セットが全部入るようになっています。木や動物の配置を変えることで、ゆうとくんのおうちの雰囲気も変わるし、お兄ちゃんともいっぱい遊べるんじゃないかと思います。

パパ

すごいです!かわいいおうちを作ってくれてありがとうございます!

上の子もずっと楽しみにしていたのか喜んでました。ゆうとも天国で喜んでくれているとうれしいです。

たましいのおうちとゆうとと一緒にこれからもずっと生きていきます。

一番最初にご連絡いただいた時点で、ものすごく立て込んでる時期だったため、完成まで半年以上お待たせすることとなってしまったのですが、なんとかゆうとくんの初盆に間に合わせることができてホッとしております。

お兄ちゃん、ちゃんと理解していると思います。ご家族みなさんの気持ちが落ち着いて、ゆうとくんありきの家族のカタチになっていくと思います。きっといろんなエピソードが増えていくんだと思います。

たましいのおうち体験についてお伺いしました

なぜ「たましいのおうち」を作ってもらおうと思いましたか?

可愛らしい仏壇がなく、インターネットで探していたところ、同じ経験をされた多胡さんのサイトに出会い、興味をもったから

それまでどのようなお気持ちでしたか?

悲しみの中から抜け出せない気持ち。なぜこんなことになったのかと考えても答えが見つからず悩んでいた。

できあがってどのようなお気持ちですか?

子どものためにもう何もしてあげられないと思っていたが、してあげることができて良かった。おうちが準備できたので初盆が楽しみになった。

このご縁の中で心に残っていることはなんですか?

たましいのおうちをインターネットで検索して見つけたのだか、未だにどうやって辿り着いたのかわからない。何か導かされるようなことがあったのかもしれないと思った。

「たましいのおうち」について

木工作家の多胡歩未が、自身の経験から、子どもを亡くしたご家族が前を向いて生きていくための、家族の「かたち」を一緒に考え、オーダーメイドで作ります。