5: ただの小さめ赤ちゃんというわけではなさそうだ

「大きい病院」へは一人で行った。

ちょうどダンナさんが出張で長期留守だった。

現状が分からないから、

下手な事を言って心配させたくなかった。

両親はすごく心配したけど、

とりあえず、一人で行くと言った。

現状が分からないから。

夫婦間で話し合う前に、

両親とその事を話すのはいやだった。

とりあえず、現状を知りたかった。

そしてとにかく、

大きい病院へ行った。

一人目を出産したそこそこ大きな病院。

あの時も一難あったけど、

とても神聖な想い出のある場所だ。

今から何が起こるのか分からないけど、

この病院ならいいや。

と思った。

担当だった先生には会えず、

局長先生が診てくれた。

局長先生もむずかしい顔をしていた。

正直この時のやりとりは覚えていない。

今どういう事が起こっているのか。

先生も、一生懸命それを知ろうとしてる感じだった。

局長先生は、今日の検査の結果から

他の先生達と、

今どうなっているのか、

どういう対応があるのかを

話し合ってみるから、

少しだけ時間を下さいと言った。

数日後に連絡するからとのことだった。

どうも、なんだか、

とっても一大事かも。

今、私の持っている情報は、

「大腿骨の長さが通常より短い」

たったそれだけ。

ただの小さめ赤ちゃん、

というワケではなさそうだ。

とにかく、

局長先生を信じよう。

そして、もうこれは一人で抱えている場合ではない。

大きい病院の帰り道、

ダンナさんに電話した。


「たましいのおうち」について

木工作家の多胡歩未が、自身の経験から、子どもを亡くしたご家族が前を向いて生きていくための、家族の「かたち」を一緒に考え、オーダーメイドで作ります。

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